聖座・典礼秘跡省から御返信が届きました。 クリック/タップ

サラ枢機卿様留任と典礼秘跡省への手紙送付(新型コロナウイルスと聖体拝領方法関連)

今年の6月15日で満75歳を迎えられた典礼秘跡省長官のロベール・サラ枢機卿様ですが、「別な措置が講じられるまで」(donec aliter provideatur)同職務を続けられることとなりました。CNA系伊メデイアACI Stampaが、6月18日付けの記事で本件について報じました(英語の同テーマ記事はこちら)。これまで存じ上げていなかったのですが、定年の75歳を過ぎても、聖座の諸省または他の常設機関の長に留任している高位聖職者方は現在他7名はおられるとのことです(※)。

※ 聖職者省長官 ベニアミノ・ステラ枢機卿様(78歳)、教理省長官 ルイス・フランシスコ・ラダリア・フェレール枢機卿様(76歳)、東方教会省長官 レオナルド・サンドリ枢機卿様(76歳)、教育省長官 ジュゼッペ・ベルサルディ枢機卿様(76歳)、司教省長官 マルク・ウエレット枢機卿様(76歳)内赦院長 マウロ・ピアチェンツァ枢機卿様(75歳)、文化評議会議長 ジャンフランコ・ラバージ枢機卿様(77歳)


サラ枢機卿様はいつまでの留任かは分かりませんが、少なくとも、サラ枢機卿様がフランシスコ教皇様に「楯突いている」ことにより(リベラル系教会メディア、世俗マスコミは、これまでサラ枢機卿様のことを「楯突いている」とのレッテルを貼って報道してきている)、満75歳を迎えてすぐに辞職することになるという訳ではないようです。


バチカンへの手紙送付

その典礼秘跡省長官、サラ枢機卿様宛てへ6月15日に手紙を発送いたしました。国際宅配便のFedExで送付し、日本時間の6月17日午後(現地時間では同日午前)に到着したことを確認しております。

手紙の内容は、「東京大司教区による舌による聖体拝領の制限措置は合法なのか」「信徒には現況(新型コロナウイルス対策下)でも舌で拝領する権利はあるのか」という点について、問い合わせるものです。

東京大司教区においては、6月10日に『6月21日からの教会活動の再開に向けて』との菊地大司教様による文書にて「しばらくの間、口(舌)での聖体拝領を控えてください」との指示が出ました。1月31日の時点の指示では「咳や熱がある場合、口(舌)での聖体拝領はご遠慮ください」との条件つきだったのですが、公開ミサ中止前とは打って変わって禁止となりました。

6月11日に菊地大司教様に「舌による拝領禁止」を撤回するか、1月31日時点の指示のような条件をつけていただくことをメールにてお願いいたしました。メールでは、先日の記事に掲載した2009年豚インフルエンザ流行時の典礼秘跡省書簡、『あがないの秘跡』(第91、92項)、国際Una Voce連盟によるプレスリリースについても提示させていただきました。拝領方法が原因で接触感染が起こったという事例は今のところ報じられていないということも書きました。

「私のような御聖体を舌で拝領している信徒は、昔からの慣習事由で 『周り人の命を考慮せずに』固執しているのではなく、『全実体変化』を信じているからこそ、 手による拝領により確実に発生する『手のひらへの御聖体のかけらの付着と、床へのかけらの落下』を避けたいからこそ御聖体を舌で拝領しています」ともお伝えしました。(平信徒の手は聖別されていないという理由は、もはや通用しないだろうと思ったので書きませんでした。)

しかしながら、翌12日に東京大司教区広報部のご担当者様から返信がきた内容としては、接触感染リスク回避についての考えについてのみ詳しく説明するものでした。「口による聖体拝領そのものを禁止したり、否定したりするものでは全くないことを付け加えさせていただきます」というお言葉もありましたが、『あがないの秘跡』、全実体変化等については何も言及がありませんでした。

「人命の軽視は『すべてのいのちを守る』という教皇様の御意志に背くこと」というお考えがあるようです。同返信の説明については、6月19日に出された『緊急事態下における聖体拝領について』の記載内容とほぼ同じものでした。(6月19日文書の方がより詳しいです。)

菊地大司教様および東京大司教区広報部としては「いのちを守る」という善き意向があるのでしょうが、「舌による聖体拝領」が正統だと考えている自分のような信徒達とは、信仰が根本から、全く異なるのでしょう。

19日の文書では「善き意向」による接触感染防止、「いのちを守る」ことについてのお考えが丁寧に述べられています。「もとより、現在の日本の教会では手による聖体拝領を主としていますが、当然口による聖体拝領が禁止されているわけではありません。通常時にあっては、そうなのですが、以下に掲げる理由から、再開の初期の段階では、できる限り手での拝領としてくださるようにお願いしております」とも記されています(「できる限り」とあるものの、ミサ中においては禁止措置ですが)。

とはいえ、ご主張の核の部分に注目すると、舌による聖体拝領を希望する信徒に対しては「ミサではない時間に拝領できるよう、自分で別途司祭と交渉するように。感染リスクを回避するために、ミサ中に信徒が舌による聖体拝領をするたびに司祭または聖体奉仕者の手指を消毒するような手間のかかる措置は取りません」というメッセージとして受け取れます。(リスクを最大限に回避したい意向であれば、信徒の手のひらに御聖体を授与するたびに、聖体奉仕者が消毒する措置は取らなくてもいいのか?)

仮に菊地大司教様による「いのちを守る」措置が正しいとしても、指針『あがないの秘跡』の規定に反する指示なのですから、聖座へ「今回の特別措置を認めていただきたい」とご要請して、許可がおりてはじめて東京大司教区文書として正式に通達すべきではないでしょうか。聖座にお伺いを立てるための時間があるにもかかわらず、法を無視しても構わないのでしょうか・・・?

なお、12日の東京大司教区広報部からのメールに対しては、当日中に以下の文章も含んだ返信メールを送付しました。Ccに菊地大司教様のアドレスも入れております。

「東京大司教区には舌による聖体拝領を否定する司祭が少なからずいます。菊地大司教様にも昨年お手紙を差し上げましたが、舌による聖体拝領を希望する信徒に対して注意どころか、罵倒したり、人格否定をする神父様も複数名おられます。 (もしお望みでしたら、そのような神父様方(教区司祭)の実名をお伝えいたします。)」

調査するご意志がないのか、本件については6月20日時点で何の反応もありません。

典礼秘跡省への今回の手紙には、昨年同省へ手紙を差し上げた当該問題について、東京大司教区を含む日本の高位聖職者方はいまだ何も措置も講じていないということも書き記しました。

agnus dei

また、今回の手紙においては、追伸として東京だけではなく日本の他の司教区でも、新型コロナウイルス対策として同様の指示が出ていることについても書き添えました。

2020年2月から6月にかけて、札幌、仙台、さいたま、名古屋、京都、広島、福岡、長崎、大分、那覇司教区からも「口での聖体拝領はしない」「口(舌)では受けない」との内容の声明が一回以上出されています。

大阪大司教区においても、「なるべく」との穏便な指示ではあるものの5月21日に「聖体を拝領する信者は、なるべく手で聖体を受け、拝領する際だけマスクをはずすようにしてください」との指示が出ています。(この指示を受けて、堂々と舌で聖体拝領できる信徒はどのくらいいるのでしょうか?)

札幌:勝谷司教様

3月27日
「口(舌)での聖体拝領はご遠慮ください。」
https://www.csd.or.jp/article135

5月28日
「口(舌)での聖体拝領はしない」
https://www.csd.or.jp/article196

仙台:小松史朗神父様(事務局長)

6月12日
「聖体拝領の際には間隔をあけて並び、ご聖体は手で拝領し、口での拝領はしない。」
http://www.sendai.catholic.jp/wa_files/20200612covit8Japan.pdf

さいたま:山野内司教様

 2月7日
「当分の間、口での聖体拝領をご遠慮ください。」
http://saitama-kyoku.net/home/news/?num=20

※ 2月26日(第3次)~6月12日(第9次)では拝領方法についての言及はなし。2月7日の指示がいつまで有効なのかは不明。

名古屋:松浦司教様

2月28日
「舌での拝領を避ける」
http://nagoya.catholic.jp/countercorna-japanese-3.pdf

3月16日
「これまで通り教会では、手洗い、咳エチケットに配慮し、舌での拝領を避けて下さい。」
http://nagoya.catholic.jp/countercorna-japanese-4.pdf

5月21日
「口での聖体拝領はしない。」
http://nagoya.catholic.jp/countercorna-japanese-10.pdf

京都:大塚司教様

2月18日
「当面は舌での聖体拝領は控え、手で拝領すること」
http://www.kyoto.catholic.jp/new/topnews/20200220corona.pdf

※ 「舌での~控え」の下に波線を引いて強調している。

2月26日
「当面は舌での聖体拝領は控え、手で拝領すること」
http://www.kyoto.catholic.jp/new/topnews/20200226corona.pdf

5月16日
「口(舌)での聖体拝領は控え、手で拝領すること。」
http://www.kyoto.catholic.jp/new/topnews/20200516misa.pdf

大阪:前田枢機卿様

5月21日
「聖体を拝領する信者は、なるべく手で聖体を受け、拝領する際だけマスクをはずすようにしてください。」
http://www.osaka.catholic.jp/pdf/2020/200521g8.pdf

広島:白浜司教様

2月27日
「直接、聖体を口に入れて授与することを控える(手先が信者の口に触れるため)。」
http://www.hiroshima-diocese.net/2020/02/27/post-1377/

6月4日
「口で拝領するか舌で拝領するか、各自の判断に委ねられているが、感染拡大防止の観点から、(できる限り)手による拝領に協力していただくようにお願いする。」
http://www.hiroshima-diocese.net/2020/06/04/post-1630/

福岡:アベイヤ司教様

5月22日
「聖体授与の前に、司祭も聖体奉仕者も、手をアルコール消毒し、信者は聖体を手でいただく」
http://fukuoka.catholic.jp/wordprss2/wp-content/uploads/2020/05/notice20200522.pdf

長崎:髙見大司教様

2月29日
「当面、舌による聖体拝領は控え、手で拝領してください。」
https://www.nagasaki.catholic.jp/?p=8792

3月19日
「当面、舌による聖体拝領は控え、手で拝領してください。」
https://drive.google.com/file/d/1bJEwmTf1QPH0wZ1kfLyqhCeVW_06DXsA/view

大分:浜口司教様

2月26日
「口での聖体拝領は感染のリスクを高めますので、当分の間、ご遠慮ください。」
https://oita-catholic.jp/publics/index/1/detail=1/b_id=3/r_id=50#block3-50

3月26日
「聖体拝領は手のみとし、口では受けないこと。」
https://oita-catholic.jp/publics/index/1/detail=1/b_id=3/r_id=87#block3-87

5月11日
「聖体拝領は手のみとし、口では受けないこと。」
https://oita-catholic.jp/publics/index/1/detail=1/b_id=3/r_id=137#block3-137

那覇:バーント司教様

2月4日
「御聖体を口で受けないこと」
http://www.naha.catholic.jp/img/file2.pdf

※ 教区公式サイトのトップに、5月14日付けの文書が掲載されており、「別紙の『公開ミサ再開のためのガイドライン』に基づく各小教区の感染予防措置を講じたうえで段階的に再開」と書いてあります。ガイドラインとは、上記2月4日付けPDFです。

本件、典礼秘跡省からの何らかの措置により、悩み苦しんでいる日本の信徒が今の境遇から脱出できますように、お祈りいただけましたら幸いです。日本の高位聖職者方のためにも・・・。

イエズスの聖心の大祝日
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※本記事については急いで書いたので、あとでところどころ書き直す可能性が高いです。