教会への潜入者ないし侵入者について、実感が湧かない方もいらっしゃるかもしれません。
最近偶然知った「プロテスタント教会へのカルト侵入」事例が、「侵入」について考える上で大変参考になる内容につき、紹介してみます。
・複数のサイト情報を読んだ上でまとめておりますが、問題の当事者ではないため内容に誤りがある可能性もございます。
カルト「新天地」による侵入・乗っ取りの事例
「新天地」(新天地イエス教証拠幕屋聖殿)という韓国発のカルトが同国で猛威を振るっており、彼らの日本侵入がプロテスタントにおいて大問題になっているようです。
(「クリスチャントゥデイ」は本件関連で疑惑があり、日本基督教団と衝突しているらしいです。情報元はこちら。)
「新天地」で検索すると、侵入された側としての苦難体験の情報が色々と引っかかります。
侵入、乗っ取りの方法
● 対象: 一般のプロテスタント教会全て
●方法:
a) 小型教会
新天地のメンバーを一般教会に送り込み、一般信徒を引き抜く。
その後更に大量にメンバーを送り込み、教会内に分裂を起こすことにより牧師を追い出す。
最終的には教会を乗っ取る。
① 厳しい訓練を受けたカルト教団メンバーが、普通の信者になりすまして一般教会のメンバーとなる。
② 3-10年間潜伏する。この間、熱心に集会に出席し、模範信者として振る舞う。
③ 侵入者が教会内グループのリーダーや教会役員になる。
④ 信者達の信用を獲得したタイミング(誰からも絶対に疑われないタイミング)で、教会外での聖書研究に勧誘する。この研究の場で、少しずつ新天地の教理を吹き込んでいく。
⑤ 十分に信徒達の信頼を得たところで、その教会の牧師を解任するよう決議する。一般信者の役員も追い出す。
⑥ 新天地の牧師を呼び寄せる。(=教会信者と財産の乗っ取り完了)
b) 中大型教会
侵入者は、聖書勉強に誘うのではなくて、密かに情報のみを外部に提供する。
教会要覧を作って布教対象者を絞り、伝道戦略を錬る。そして、外部で他の新天地メンバーが偶然を装い接近する。
c) 内部紛争中の教会
紛争がある教会に組織的に入り、特定の派閥に味方して勢力を形成する。
牧師派、反牧師派、中立派にそれぞれ入り込み、情報をつかんだ上で更に混乱させる。
侵入者だと見分けるポイント
・外部での聖書勉強中に、祈りを強調しない。・既成教会の牧師はバビロンであり墓場だと批判しながら、同情されることを願う。
…など
新天地の「親切」訓練
新天地メンバーへの訓練内容には様々なものがある。そのうち「親切」の修練方法は次の通り。「親切」講義内容
1.親切と第一印象2.親切と視線
好感が持てる視線の持ち方
3.親切と感情管理 (怒りをおさめる方法)4.親切と拒絶
5.親切とボディーランゲージの重要性
例えば、良い第一印象を与える3段階
第一段階 柔らかい視線
第二段階 歓迎の微笑みを見せること
第三段階 暖かい一言をかけてあげる
「親切」診断テスト
診断テスト20項目のうち、9点以下なら再受講2. 友達が悩みを打ち明けた時は、どうにかして助けたいと思う
3. 私は名節の時は家の中が騒がしくなるのが好き
4. 初めて会う人は、私に対して好印象があると言う
5. 友達が自分のことを誤解して怒っても一端は我慢してみる性格だ
6. 道に迷った人に道を聞かれれば詳しく教える方だ
7. 友達や家族のためにサプライズパーティーをした時がある
8. 周りの人は私の事を万事に肯定的だと言う
以下省略
「布教のために彼らは鍛えられてキリスト教会に入ってきます。」
※ 訓練内容等の情報は主にこちらのPDFに負っています。
● その他情報
・教会の看板は「○○バプテスト教会」であっても、中身は「新天地」にすり替わっている。
・既存の牧師が新天地になってしまうこともある。
・侵入者が神学生として正統神学校に入り、その後正統的な牧師として赴任した教会で、そのまま内部を新天地にするケースもある。
別のカルト侵入の事例
以下は或るプロテスタント教会の役員を務める方のブログ情報より。この方は、同教会に侵入してきた乗っ取りカルトと闘い、最終的に問題を終息させることに成功したとのことです。
※ ブログURLは本記事末尾に掲載
模範的なクリスチャンを装い、合法的な手段で乗っ取る
・カルトメンバーは十分に訓練されており、既存の教会員が不信仰に見えるほど、模範的なクリスチャンを装う。主だった役員クラスが瞬く間に侵食された。
・ある意味「合法的」な手段のみで教会を乗っ取るので、心になんの準備のない教会は、手の打ちようがない。
・教会の内紛・亀裂にカルトが乗じて侵入する。
・乗っ取りカルトとの闘いは、彼らを教会から排除するということを目的とする。
しかし、形の上では、信仰を求めて教会の門を叩いたカルトを排除するということは、キリスト者として大いに煩悶する。反カルト闘争をする人が、親カルトの人から「あなたはそれでもクリスチャンなのか?」と糾弾されたことがある。
・反カルト派と親カルト派で、教会員と役員会が真っ二つに割れた。
・危機感を抱く信徒に対して、牧師があまりにも楽観的な態度を取ることにより、問題を深刻化し、致命的な事態に至らせることも多い。
・親カルト派とは徹底的に闘う覚悟が必要。
「ただし、『徹底的』といっても、熱い戦いを始終、挑めというのではない。時に、懐柔したり、妥協したり、同意する素振りを見せたり・・・・まさに、蛇のように敏く鳩のように従順に、を地でいかなければならない」
・反カルト派、親カルト派のそもそもの分裂構図を作らないためにも、普段から教会内部を平安に保つ。教会員同士寛容の心で接し、内紛を起こさないようにする。
・情報を徹底的に収集する。乗っ取りカルトとの戦いは情報戦である。
「結局、乗っ取りカルトとの闘いは、相手が乗っ取りカルトであるという『証拠』を掴めば勝ちで、ゲームオーバーである。しかし、その『証拠』を示す具体的な情報がネット上ではあまりにも少ない」
「被害を受けてカルトと戦っている教会にとって決定打となる情報がないのである。法令に触れない限り、勇気をもって情報を公開してくれる教会や個人が待たれる。」
これらの侵入・乗っ取り事例を読むと、聖座、日本など各国内の教会全体、司教区、小教区それぞれの次元において、既視感のある内容や参考になる情報が語られていると言えるのではないでしょうか。
個人的には、親切な模範信者のふりをして長期間潜伏する、教会外活動で異端思想を吹き込む、既存の牧師を批判する、内紛がある教会に侵入して「分断」させるあたりがリアルだと思いました。(神学生としての侵入については、カトリックでも実際に聞かれているやり口ですね・・・。)
情報元・参考サイト
● カルト「新天地」による侵入・乗っ取りの事例
https://www.christiantoday.co.jp/articles/13574/20140626/korean-heresies-seminar.htm
http://machidacalvary.com/_userdata/sintenchi2.pdf
https://www.christiantoday.co.jp/articles/13574/20140626/korean-heresies-seminar.htm
http://www.jesuscom.net/helpcult/news60.htm
https://blogs.yahoo.co.jp/sollupo2000/16428591.html
● 別のカルト教団侵入の事例
https://blog.goo.ne.jp/sarastro1957/e/9a6937508f5f6d26db99e3d14fc67ce6