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メイソン教会として建て替えられた山口サビエル記念聖堂 ③ 【聖堂外観】

1ページ目からの続きです。

水の落下、もしくは滝

ここで、ボードにおける「水の落下 / 滝」のような部分は聖堂周辺にないのか?と思われるかもしれません。私個人としては、聖堂外壁になぜか設置されている水道場が「水の落下 / 滝」を表しているのではないか、と推定しています。

山口サビエル記念聖堂の水道場

なぜか設置されている水道場。蛇口が3つ並んでいる。「3」は教会だけではなく、フリーメイソンも好む数字である。

3つの蛇口から水が流れている光景を想像してみると、まさに「水が流れ落ちる様」ではないでしょうか。

※ 水道場の鮮明な画像は、こちらのブログ記事にアップされています。

前廊(ポーチ)

ポーチ

一般的な前廊(ポーチ)イメージ

前回記事の「聖堂レイアウト図」にも掲載されている通り、新聖堂には、外の扉と聖堂入口の間に「⑫ 前廊(玄関)」があります。前廊、すなわちポーチとは「建物の本体から張り出して設けられた、屋根のついた玄関」のことです。

山口サビエル記念聖堂の前廊(ポーチ)

『フリーメイソンシンボル事典』(現役メイソンが著者)によれば、第二位階のトレーシング・ボードにおける前廊(ポーチ)は「超自然的な内的覚醒への入口」のシンボルとのことです。

前廊(ポーチ)

曲がりくねった階段 (螺旋らせん階段)

ボードにおける「曲がりくねった階段(螺旋階段)」のような部分は、一見すると聖堂周辺には見られません。
ですが、聖堂(地下)一階内部の階段がそれと思われます。

山口教会のレイアウト図

左レイアウト図(一階)の左端㉑「検索コーナー」の背後が階段だと思われる。
番号解説ページ

山口サビエル記念聖堂

階段横の案内看板には「聖堂入口」と書かれている。
【画像出典】(巡礼記の韓国ブログより転載させていただきました)

聖堂地下一階の「クリスチャン記念館」内部の階段が、画像の左に向かって曲がっています。

モザイク舗床ほしょう(市松模様の床)

前回の記事にも「ハビエル領主の紋章」が扉に施されていることを書きました。

第二位階ボードにおける「神殿入口」の床は「モザイク舗床ほしょう(白黒の市松模様の床)です。市松模様があるハビエル領主の紋章も、聖堂の扉の下部、すなわち入口の床に近い位置に施されています。新聖堂と「第二位階のトレーシング・ボード」との一致点の多さを見るに、紋章についても「考えすぎ」と一概には言えないと思っています。


第二位階トレーシング・ボード以外の推定シンボル

最後に、トレーシング・ボードではない推定シンボルについて1つ挙げてみます。

幕屋(テント)

[字幕] 3:27-
三角形に近い聖堂の姿は、聖書に記された「神の幕屋(テント)」をイメージしています。

新聖堂の重要テーマである「幕屋」について、一体何がアイディアの源泉なのかという疑問が沸いてきます。「三角」デザインを前面に押し出すことができるコンセプトを聖書から選んだ、過去にルッジェリ神父が設計した教会の名称(幕屋教会)が着想となった、などの考えは浮かびます。

Tabernacolo

イタリアはジェノヴァのTabernacolo教会(Tabernacolo=幕屋)

もしくは、「ヤキンとボアズ」を「聖堂」と関連づける構想のなかで、有名なアートワークが元ネタになったのかもしれません。

ヤキンとボアズと幕屋

「ヤキンとボアズ」と「幕屋」

「ヤキンとボアズ」のすぐ側に「幕屋」が設置されています。これは、有名なアートワークの一部分を拡大したものです。

ジョージ・ワシントンのフリーメイソンアートワーク

アメリカ合衆国初代大統領 ジョージ・ワシントン大統領(フリーメイソン)の
アートワーク。右下に前掲の幕屋がある。

ワシントン大統領が、トレーシング・ボードなどの彼らの「シンボル」に囲まれています。非常に有名なアートワークにつき、もしかすれば、ここから着想を得たのかもしれません。

※ 右下の「幕屋」がない、類似のアートワークもあります(大統領の向きやシンボル絵画が違うもの)。

契約の櫃と幕屋のアートワーク

「契約の櫃と幕屋」のアートワーク (出典

新聖堂は「ソロモン神殿」であり、且つ彼らのシンボルとしての「幕屋」でもあるのでしょうか。(フリーメイソンの特定の或る位階にも「幕屋」という概念が出てきます。)

大統領のアートワークに関する推定についてはあまり自信がないのですが、ご参考までに記してみました。


今回の「③【聖堂外観】」記事まとめ

以上、新聖堂の外観における、フリーメイソンの「第二位階のトレーシング・ボード」のシンボルと一致する項目を挙げていきました。その一致点の多さから、新聖堂は彼らの象徴で言うところの「ソロモンの神殿」を表していると言えそうです。

・・・聖堂内部の「聖体の小部屋」も、もしかするとソロモンの神殿と関連づけられているのかもしれません。

サビエル記念聖堂の御聖櫃

ソロモンは神殿の奥に主の契約の櫃をおく小部屋を造った。

列王の書上 6・19
山口教会の旧聖堂双塔
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新聖堂を押しつけられたと思われる山口カトリック教会の信徒の方々、および異常な日本の教会のためにお祈り下さい。


参考サイト

護教の盾の「或るビル」シリーズの記事(2012年7月)は、「トレーシング・ボード」に関して気付くきっかけとなり、大いに参考にさせていただきました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。
http://gokyo.web.fc2.com/diary2012/d-2012-07-08g.html
http://gokyo.web.fc2.com/diary2012/d-2012-07-08i.html

SOME THOUGHTS ON THE HISTORY OF THE TRACING BOARDS
フリーメイソン員によるトレーシング・ボード解説ページ
http://themasonictrowel.com/Articles/degrees/Tracing_Boards/some_thoughts_on_the_history_of_.htm

THE TRACING BOARD OF THE SECOND DEGREE
横浜市のファー・イースト・ロッジ No.1(Grand Lodge of Japan)公式サイトにおける「第二位階のトレーシング・ボード」の「川と水の落下」解説ページ
http://www.skirret.com/archive/dormer/tracing_board_of_the_second_degree.html
※ 日本ではなく、外国(スコットランド?)のメイソン員による解説文

参考文献

ユタン、セルジュ著、小関藤一郎訳『秘密結社』白水社、1956年

有澤玲『真説 フリーメイソン大百科(下巻)』彩図社、2011年
※ 色々と参考にさせていただきましたが、カトリック教会に対する批判的な記述、言い回しが散見される本です。

ロバート・ロマス著、松田和也訳『フリーメイソン シンボル事典』学研パブリッシング、2013年
※ 本の著者プロフィールによると、Robert Lomasはメイソン現役会員。著書『封印のイエス』はダン・ブラウンにより翻案され、『ダ・ヴィンチ・コード』『ロスト・シンボル』のキャラクターおよびシンボル造形に利用された(一部メイソン員によると、小説の主人公「ロバート・ラングドン」のモデルはロマスらしい)とのこと。
※ アポロ11号のフライトバッジにおける「鷲が月面に着陸し、その爪にアカシアの小枝をつかんでいる」図案は永遠の生命を表すフリーメイソンのシンボルだとか、同11号の「11」は「2本の柱を思わせる」だとかも書かれている本です。

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