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メイソン教会として建て替えられた山口サビエル記念聖堂 ③ 【聖堂外観】

動画タイトル「【公式】サビエル記念聖堂」(約10分)

今回の記事③では、聖堂公式動画の字幕と公式サイトの説明文を参照しながら、聖堂外観のシンボルについて取りあげていきます。

1549年、幾多の苦難を乗り越えて、日本にキリストの福音を伝えた人がいた。
この聖堂は、彼の清廉な心を映してあくまで白く、塔は、彼の強い意志を語るように天に伸びている。

鐘よ響け、高らかに。時を超え、すべての人々に、平和と幸せを告げ知らせよ。

山口サビエル記念聖堂は、日本に始めてイエズス・キリストの福音を伝えた聖フランシスコ・サビエルの功績を称え、1952年、ここ山口の地に建てられました。

以来、聖堂は、多くの人々に愛され親しまれてきましたが、1991年9月5日惜しくも消失。
その後、信徒や山口市民の皆様をはじめ、ひろく世界中の人々からのご支援により、1998年4月29日、現在の記念聖堂が完成しました。

聖堂は、サビエルの足跡を伝えるとともに、福音の喜びを山口をはじめ各地へ告げ知らせています。

三角形に近い聖堂の姿は、聖書に記された「神の幕屋(テント)」をイメージしています。 聖堂の内部は祈りのための空間です。室内に降り注ぐ光は、ステンドグラスを通して刻一刻と変化し、斬新なデザインの祭壇を優しく包み込んでいます。

聖堂は、光と水と幕屋(テント)をテーマとし、神御自身を象徴する光は、多くのステンドグラスを通して聖堂内に降りそそいでいます。

水は罪からの清めと新しい命を表すしるしとして用いられています。

パイプオルガンは豊かな音色を奏で神を賛美しています。

左側の時計塔のオブジェは、ギリシャ語のキリスト(X)とイエス(I)の最初の文字(*)〔原文ママ〕で、丸い形の玉は地球、オリーブの枝が平和の印として用いられ、世界に平和をもたらすキリストを意味しています。右側の鐘塔にある9つの鐘には、市民や子供たちなどに向けた、天からのメッセージが刻まれており、平和と幸せを告げ知らせています。

聖堂外観は「シンボル」の複合体である

Xavier church

[字幕] 0:14-
1549年、幾多の苦難を乗り越えて、日本にキリストの福音を伝えた人がいた。
この聖堂は、彼の清廉な心を映してあくまで白く、は、彼の強い意志を語るように天に伸びている。

新聖堂は、旧聖堂における尖塔(時計台と鐘塔)の二本の塔、すなわち双塔性を残しつつも、新デザインにて全面的に「刷新」したものだと一般的に考えられているのではないでしょうか。

コンスタンチノ・ルッジェリ神父とルイジ・レオニの記者会見

【聖堂設計者】 フランシスコ会のコンスタンチノ・ルッジェリ神父と
建築家ルイジ・レオニ(両人はコンビ)

ルッジェリ神父とルイジ・レオニは新聖堂の設計依頼を引き受けた後(依頼主は聖堂建設委員会。同委員長はドメニコ・ヴィタリ神父)、1993年9月に来日して記者会見に臨んでいます。記者会見において、ルッジェリ神父は「祭壇やステンドグラス、二つの塔など同じものでも現代をイメージした表現で考えてきたい」と発言しています。設計受託の当初から「二本の尖塔など従前のイメージ」を基に「現代化」させる案は彼の頭にあったようです。

※ 上記の情報および写真は1993年9月18日付け山口新聞より; 焼け跡に隣接する旧神父館での記者会見の記事(1993年9月17日会見)

とはいえ、「斬新」「現代的」(そして「三角」)というイメージを単にデザインしただけではないと思われます。単刀直入に言うと、新聖堂はフリーメイソンが用いる第二位階(the Second Degree)の「トレーシング・ボード」を模していると推測されます。

Tracing Board and Xavier church in Japan

第二位階「同輩職人」のトレーシング・ボード(左)

第二位階のトレーシング・ボードとぱっと見て比較しただけでも、「二本の柱」「神殿/聖堂下部に配置される川(に見立てた池)」について一致していると分かります。

「トレーシング・ボード」について
トレーシング・ボードは「シンボルの複合図」。メイソンの視覚的教材であるとともに、瞑想や観照の本尊としても用いられる。
基本三位階以外にも、特定の位階とは関連づけられていないボードも存在する。

【参考文献】 『フリーメイソンシンボル事典』
Tracing Board
第二位階のトレーシング・ボード

第二位階のトレーシング・ボード

第二位階のトレーシング・ボードには、彼らのシンボルとしての「ソロモンの神殿」が描かれています。メイソン関連本によると、彼らは、ソロモンの神殿を「ロッジの象徴」や、理想的な人格のメタファーとしての「霊的な神殿」だと見なしているようです。

以下、第二位階の「トレーシング・ボード」との「一致」について挙げていきます。

双塔は「ヤキンとボアズ」の柱

新聖堂の双塔は、第二位階のトレーシング・ボードに描かれている「ヤキンとボアズ」の柱だと推測されます。

「ヤキンとボアズ」について
ソロモンの神殿の入口に立てられていた、対をなす二本の柱のこと。旧約聖書の「列王の書上」(7・15-22)、「歴代の書下」(3・15-17)にヒラムが「ヤキンとボアズの柱」を鋳造する様子が記されている。聖書の記述とは異なり、メイソンのシンボルにおいては、右のヤキンの頂部に天球儀、左のボアズの頂部に地球儀を置くことが多い。

なお、ヒラムはフリーメイソンの伝承体系において最も重要なポジションを占めている。
参入儀礼(入社式儀礼)にて新参入者は、象徴劇を通してヒラムの死と復活に関する「ヒラム伝説」を体験するらしい。(勿論、この伝説は聖書に記載のない内容である。)

両端に立っている柱がヤキン(右)とボアズ(左)

「ヤキンとボアズ」はフリーメイソンが多用するシンボルであり、トレーシング・ボード以外のアートワークや模型にも見られます。

旧聖堂を模している体裁上、新聖堂の双塔が配置されている場所は「ヤキンとボアズ」が立てられる入口側ではなく、聖堂背後です。「配置場所が違う」ことにより、人によっては「ヤキンとボアズ」説は眉唾だ思われるかもしれません。

しかし、ここで、旧聖堂にはなかった塔上のオブジェに着目すると、奇妙な一致が認められるのです。

[字幕] 8:53-
左側の時計塔のオブジェは、ギリシャ語のキリスト(X)とイエス(I)の最初の文字(*)〔原文ママ〕で、丸い形の玉は地球、オリーブの枝が平和の印として用いられ、世界に平和をもたらすキリストを意味しています。

山口サビエル記念聖堂の時計塔

左側の時計塔

「左側」「地球」がポイントです。

前掲の「ヤキンとボアズ」についての解説にも記した通り、左の柱であるボアズの頭頂部には、大抵地球儀が置かれています

Tracing Board

第二位階のトレーシング・ボードにおける「ヤキンとボアズ」(ボード左側の柱)

Solomon's Pillars Lodge

イスラエルはエイラートのロッジ「Solomon’s Pillars Lodge No 59」
(ソロモンの柱ロッジ No 59)のモニュメント?

山口サビエル記念聖堂の完成イメージ図

新聖堂の「完成イメージ図」(1994年12月18日付け山口新聞より)

1994年時点のイメージ図にも、双塔左側の頭頂部に丸い形の球体が描かれています。

「ヤキンとボアズ」説が眉唾だと思われる方もいるかもしれないので、他の「一致」するシンボルについて、引き続き挙げていきます。

※ 時計台上のIXモノグラムのオブジェとオリーブの枝については、次回記事に回します。

川(に見立てた池)と橋

[字幕] 5:13-
聖堂は、光と水と幕屋(テント)をテーマとし、神御自身を象徴する光は、多くのステンドグラスを通して聖堂内に降りそそいでいます。

山口サビエル記念聖堂の池

聖堂の一階(地下一階と表現されることもある)屋外には池と橋があります。

「なぜ池があるのか?」との疑問に答えるように、聖堂公式サイトにおいて「エゼキエルの書」第47章が紹介されています。

新聖堂のテーマ「水」についての聖堂公式サイト解説

この説明文により、「エゼキエルの書」第47章の「川」が聖堂屋外の「池」によって見立てられていると推測されます。

そして、当該箇所の「川」は「第二位階のトレーシング・ボード」とも関連するようです。

「川」との関連について、横浜市のファー・イースト・ロッジ No.1(Grand Lodge of Japan)公式サイトに、メイソン員による詳しい解説が掲載されていました。

※ 解説ページ(直リンはしません)
http://www.skirret.com/archive/dormer/tracing_board_of_the_second_degree.html
※ 日本ではなく、外国ロッジ(スコットランド?)のメイソン員による解説文らしいです。

第二位階のトレーシング・ボードにおける「川と水の落下」の解説

赤線を引いた「Ezekiel, xlvii, 1」=「エゼキエルの書 第47章ノ1」は、山口サビエル記念聖堂の公式サイトにて書かれていた「エゼキエルの書 第47章」と一致します。

それから彼は私を聖所の入口に連れもどした。見ると、そこの入口の下から、水が東の方に流れ出ていた。聖所は東に向いていたからである。水は、下から、神殿の右側から、祭壇の南に流れ下っていた。

エゼキエル 47・1

メイソン関連本を読む限りでは、預言者エゼキエルが幻視した神殿は、彼らの理想な人格のメタファーである「霊的な神殿」にも関連づけられているのではないかと考えられます。

トレーシング・ボードの図案に戻ります。聖堂の(川に見立てた)池には橋がかかっています。第二位階のトレーシング・ボードにも、橋がかかっている図案のものがあります。新入りメイソンが、川を「渡って」(象徴的な行為)ソロモンの神殿に向かうことを物語るシンボルらしいです。

※ 右の画像は、第二位階特定のトレーシング・ボードではなく、「複合的なボード」のうち、第二位階部分 (リンク画像の中央)

2ページ目に続きます。

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