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香港抗議デモ | ミサ聖祭を政治活動の場にした聖職者と司教区の対応に関する報道

12月9日付けの日本経済新聞電子版に「[FT]バチカンへの服従拒む香港のカトリック教会」との記事が掲載されました。12月6日付けのFinancial Times上の記事“Hong Kong’s Catholics defy Vatican over protests”の翻訳記事です。

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記事の冒頭においては、香港・九龍の教会で献げられたミサ聖祭での一光景について紹介しています。ミサ聖祭の終盤において(司祭退堂の歌なのか、それより前のタイミングなのかは不明)、香港抗議デモの事実上のテーマソングである「香港に栄光あれ」(Glory to Hong Kong)を歌うように司祭が指示し、大音量で流れる曲にあわせて会衆が歌ったというのです。

香港の九龍半島にあるカトリック教会で最近行われたミサが終盤にさしかかると、2人の侍者を従えた神父が音楽を始めるように合図をした。そして聖歌のような曲が大音量で流れた。

だが、集まった信者たちが歌い始めたのは神をたたえる賛美歌ではなく、香港の抗議デモ参加者が歌う事実上のテーマソング「香港に栄光あれ」だった。不正義に対して立ち上がろうと歌う曲だ。信者たちは最後にデモ隊のスローガンである「香港を取り戻そう。我々の時代の革命だ」を叫んだ。

カトリック系報道機関ではないFinancial Timesによる報道ではありますが、香港教区の公式Webサイトにアップロードされている2019年9月16日付け通知にも、同年9月14日(土)に献げられた主日ミサ(※)において、聖歌ではなく「香港に栄光あれ」が歌われたことについて記されております。

※ 中国語原文から推測するに、日本でも実施されている土曜日夕方の主日ミサでの出来事でしょうか?

よって、抗議活動に乗じて聖職者がミサ聖祭を政治活動の場にしたという、由々しき事態は事実なのでしょう。上記9月16日付け通知と報道記事によれば、香港教区は、公式的にミサ聖祭において抗議デモの支持を示す行為を公式に禁じており、教会で「香港に栄光あれ」を歌うことは『典礼憲章』に反すること(記事文中の「ミサの実施に関するバチカンのガイドライン」は、通知文章を読むと『典礼憲章』のことだと分かります)、説教や祈り(おそらく「共同祈願」)において時事問題や政治的オピニオンへ意見を表明する行為は不適切だと声明しております。


以上、これまで日本ではおそらく報道されていなかった香港教区における一部の負の側面についても認識した上で、香港抗議デモについて考えたいという方がおられるかもしれないので、ごく簡単ながら記事を投稿させていただきました。

なお、私は個人的には香港民主化運動に賛成しているものの、政治情勢に疎いので報道記事の本筋については詳述いたしません。フランスやチリでのデモを香港のデモと同列に捉えたと報じられている教皇聖下のご発言には大いに異論がありつつも、もし中国共産党を教皇聖下が公に御批判なさったら、本土の中国天主教愛国会に所属している信徒たちも地下教会と同様に一層弾圧される懸念があるのではないか?とは考えておりますが・・・。
(最近、愛国会の教会に通っているであろう中国人の若いカトリック信徒とネット上で交流する機会があったので、余計にそう思いました。)

※ 12月10日:香港教区による公式通知文章を読んだ後に、記事の一部を更新しました。

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