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米国・カルメル会系修道院共同体によるグレゴリオ聖歌集CD『Mystical Chants of Carmel』

2006年6月21日に、アメリカはワイオミング州のカルメル会修道士(修道院共同体の会「Monks of the Most Blessed Virgin Mary of Mount Carmel(カルメル山の最も祝された童貞マリアの修道士たち)、「The Carmelite Monks」とも)がグレゴリオ聖歌集のCDを発売しました。「Mystical Chants of Carmel」というタイトルです。

心地よい残響が特徴的です。

四谷・サンパオリーノの実店舗およびオンラインストアでも販売されています。

収録曲は以下の通りです。

【曲目】14 曲 53:38
1 Audi Filia (Gradual) 4:20
2 Recordare (Offertory) 1:48
3 Gaudens Gaudebo (Introit) 4:47
4 Beatam Me Dicent (Communion) 4:01
5 Sancta Et Immaculata (Response) 4:17
6 Signum Magnum (Introit) 3:58
7 Ave Maria (Offertory) 2:33
8 Nihil Inquinatum (Gradual) 4:29
9 Stabat Mater (Sequence) 5:40
10 Flos Carmeli (Sequence) 1:17
11 Gaudeamus (Introit) 4:16
12 Ave Maria Virgo Serena (Antiphon) 5:01
13 Salve Regina (Antiphon) 3:43
14 Ave Maris Stella (Hymn) 3:28

出典:サンパオリーノの商品ページ「Mystical Chants of Carmel(CD)/アメリカ カルメル山の聖母修道院」
修練者の着衣式(CD収録動画より)

CDは「エンハンスCD」であり、グレゴリオ聖歌の歌詞と英語訳のPDFファイルと、修練者の着衣式を録画した動画ファイル(4分27秒)が付録として収められています。

当該PDFに掲載されているクレジットによると、2005年に録音されたとのことです。

Recorded 2005, Carmelite Monastery, 35 Rd. AFW, Powell, WY 82435.
The Choir comprises the Monks of the Most Blessed Virgin Mary of Mount Carmel.
Director: Father Daniel Mary of Jesus Crucified, M. Carm.
Recording Engineer: Brother Simon Mary of the Cross, M. Carm.
Editor: Brother Michael Mary of the Trinity, M. Carm.
Production and Mastering: Preston Wright
Design and Layout: Philip Blackburn
Special thanks to our runners: J. D. Henderson, Jen Knebel, Susan George, Elizabeth George, Treshell Jones.

また、修道士たちの手作り感あふれる動画ファイルの冒頭には「カルメルの修道士は、志願者として1年間を過ごし、祈り、従順、孤独、隣人愛の生活のなかで試される。もし彼が聖なる意向を貫くならば、1年後にはカルメル会の聖なる修道服を着せられることになる。」との英文が流れます。


2009年にアップロードされたYouTube動画(修道会生活の紹介)

2003年10月15日に、ワイオミング州シャイアンのデビッド L.リッケン司教(当時)が設立したこの修道院共同体の会は、教区司祭によって設置される「教区法による会(Congregation of diocesan right)」(教会法第589条)という位置づけのようです。跣足カルメル修道会でも履足カルメル修道会でもありません。

第二バチカン公会議の「創立者の精神に立ち返る」という指示に触発されて、カルメル会の修道生活を刷新し、修道院の囲いを通して「キリストと共に神のなかに隠された生命」(コロサイ3・3)を大切に保存するために設立されました。

Mystic Monk Coffee公式サイトより

修道会の収入源として、修道士たちが焙煎したコーヒー「Mystic Monk Coffee」のオンライン販売を2007年から開始しました。「すべてにおいて完璧を目指し、コーヒー豆のひとつひとつが愛情と祈りを込めて焙煎されている」このコーヒーブランドは、世界的に人気があり、注文の約85%がリピーターとのことです。

また、オンラインショップではハーブティーやジャスミンティー、マグカップなども販売しています。

サンパオリーノでも「Mystic Monk Blend」(深煎り)のコーヒー豆と中挽き、各種ティーを購入できます。本家であるMystic Monk Coffeeの公式サイトでは、当該ブレンド以外にもシングルオリジンやデカフェなど様々なコーヒー豆を展開しています。)

2010年には、ロッキー山脈の現在の土地を取得し、2014年にネオ・ゴシック様式の修道院の建設工事を開始。今も建設中です。


「The Carmelite Monks」は、1962年に使用されていたカルメル会の典礼書を用いてトリエントミサに似た伝統的なカルメル会挙式法の典礼を献げていると各種説明に書かれています。

終わりの聖福音 出典:修道会の公式サイトの「Holy Sacrifice of the Mass」ページ

ミサの聖なる犠牲は、修道士の修道生活の「源であり頂点」です。この生活では、聖なるミサにおける神への愛に満ちた敬虔な礼拝以上の行為はできません。聖母マリア様ほど、この神聖な義務を果たした方はいないでしょう。聖母は、われらを礼拝のために養成するとき、カルメル会の兄弟たちに「なんでも、あの人のいうとおりにしなさい。」(ヨハネ2・5)と絶えず仰せになっています。

The Carmelite Monksの公式サイトの「Holy Sacrifice of the Mass」ページ

修道会の公式サイトでは、カルメル会挙式法(the Rite of the Holy Sepulchre and the Church of Jerusalem エルサレムの聖墳墓挙式法とも)による典礼や聖母の祝日、修道会の特別な召命についても述べられています。

カルメル会挙式法のすべての聖なる所作を通して、ミサ聖祭ではわれらの主がわれらに語り、導き、教示する姿を拝見します。たとえば奉献の後に司祭が十字架の形をしるすときに見られるような、十字架の繰り返しの強調は、十字架につけられた主に従わなければならない特別な召命と厳粛な義務とを当該修道司祭に思い出させます。十字架は時に重いものですが、ミサ聖祭において修道司祭は力づけられます。使徒ヨハネのように、最愛の御母マリアの傍らに始終たたずむことによってです。

われらの主は、修道士たちに教会における特別な召命を与え、御母を敬い、愛し、倣うようにされました。この使命は、カルメル会挙式法のミサ聖祭で殊に遂行されます。聖母は、特に聖母マリアの要素を通して讃えられます。Salve Regina(サルヴェ・レジナ)はミサ聖祭の不可欠な部位であり、終わりの聖福音の前に唱えられます。そして、教会における祝された聖母への崇敬と模倣を永続させるという、教会における自身の固有な召命を思い出させます。カルメル会挙式法に特有なのは聖福音朗読の前における短い黙禱であり、御託身における聖母の役割に感謝の意を示すために助祭は頭を軽く下げます。12月18日の「聖母マリアの御期待」、10月16日の「聖母マリアの純潔」、1月23日の「聖母マリアの婚約」など、聖母の祝日が盛んに祝されていることは、カルメルの美なる元后を敬い、愛し、特に模倣するという、教会における修道士たちの固有の役割を裏付けています。しかし、これらの祝日だけではなく、年間のほぼ毎土曜日にカルメル会では、愛する聖母を讃える特権的なミサ聖祭が執行されています。

ミサの聖なる犠牲において、司祭たちと修道士たちは、聖体拝領によって強く結ばれ、キリストにあって一つにされることを知るのです。非常に固有な方法で、典礼において修道司祭がキリストの上昇と降下とを仲介するとき、彼は全世界の霊魂に恩寵を仲介します。このようにして 「教会の中心における愛」(聖テレーズ)となる聖母の神秘的な使徒職を継続するのです。

The Carmelite Monksの公式サイトの「Holy Sacrifice of the Mass」ページ

※ 文章中の強調は当サイト管理人による

出典:修道会の公式サイトの「Filial Union with the Blessed Virgin Mary」ページの動画

この修道会の公式サイトは、説明書きや各種動画・画像が豊富です。ご興味のある方は、一度サイトを訪問してみることをお勧めいたします。

次の記事では、このカルメル会挙式法による典礼について、簡単に書き記したいと思います。

2021年7月16日 カルメル山の聖母
(同年7月23日に加筆修正)

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カルメル山の聖母、われらのために祈り給え。


参考

Liturgical Arts Journal: The New Carmel in Wyoming: the Monks of the Most Blessed Virgin Mary of Mount Carmel(2021年5月18日付けの詳細記事)

Wikipedia: Monks of the Most Blessed Virgin Mary of Mount Carmel(修道会に関する英語のウィキペディア記事)