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Duolingoにラテン語コースが追加されました!(2019年9月14日追記)

Duolingoにラテン語追加
ミネルヴァのフクロウ、ようやく自身の言語が追加されて喜ぶの図
(勝手な想像によるキャプション)
画像出典: Twitter

※  2019年9月14日 追記・修正: Duolingoスポークスマンによるラテン語に関する発言、フランシスコ教皇様ご発言、英語の誤訳箇所などを修正・追記しました。

昨日8月28日、外国語学習者にとってはおなじみのDuolingo(デュオリンゴ ※)に英語話者用のラテン語コース(ベータ版)が追加されました。日本人でも、中学英語ができれば問題なく受講できます。

※ Duolingoとは:
ゲーム感覚で様々な言語が学べる無料オンライン・サービス&アプリ。日本語話者用だと英語コースしかないものの、英語話者用だとスペイン語、フランス語、ドイツ語、日本語等々、計34言語の学習コースが用意されています。
ちなみに、イメージキャラクターのフクロウはDuoという名前です。

https://www.duolingo.com
https://ja.duolingo.com (日本語ページ)

2019年8月29日現在、既に1万人強のラテン語コース学習者がいるようです。

2019年9月14日時点では、学習者が13万8千人にまで増えています。

カトリック信者による反応

Duolingoへのラテン語コース追加については、英語圏カトリック信徒によるネット上の書き込みを見て知りました。一部の信徒間で話題になっているようです。外国の掲示板を見てみると、信徒達による「発音は古典ラテン語式か? 教会ラテン語式か?」「待ちに待っていた!」「さっそくやってみたけれど、音声があまりよくない」等々の発言がありました。

なお、ラテン語参考情報として、「ヴルガタ訳聖書を最初の(学習用)ラテン語読み物として選ばないこと。ヘブライ語とギリシア語からの、かなりの直訳だから」とのラテン語熟達者による書き込みもありました。(この発言の真偽について、私は寡聞にして存じません。)

早速、ラテン語コースに挑戦してみました

数年前にDuolingoのアカウントを作って以来、ほとんど利用していませんでした。コースのはじめの段階から文法重視なので(簡単な挨拶を幾つか学んでいくという定番の進め方ではない)、語学が苦手な自分にとってはどうにもとっつきにくいと感じたからです。ですが、話題になっているラテン語コースということもあり、試しに挑戦してみました。

最初はこんな感じです。単語を並べていって、対応する英訳文章をつくります。(自分で一語一語キーボードで打ち込んでいってもOK。)

徐々に難しくなっていきます。

ちなみに上の画像の問題に解答しているときに「このfratresは、ミサ聖祭でも神父様が仰せになる単語だ!」と思いました。(”Orate, fratres: ut meum ac vestrum sacrificium acceptabile fiat apud Deum Patrem omnipotentem.” (皆さん、このささげものを全能の神である父が受け入れてくださるように祈りましょう。 / 【毎日のミサ典書での訳】兄弟たちよ、祈れ、私と、あなたたちとのいけにえが、全能の父なる神のみもとによみせられるように。)

ベータ版につき、選択肢に間違いがありました。
本件、すでにユーザーからの報告がなされていました。

英語の文章のラテン語訳を選択させる問題もあります。古典ラテン語式発音です。他にも、ラテン語音声の書き取り問題があります 。

間違って解答した問題は、正解するまで何度も同じ問題がレッスン中に出てきます。これまでラテン語の文法をしっかりと学んだことがない自分でも、いろいろな問題を解答していくうちに感覚的に分かってくるような気がしてきます。”Repetitio est mater studiorum.“(反復は学習の母)というラテン語の格言をまさに実行できる学習サービスです。ゲーム感覚で進めていくうちに王冠マークのレベル5まで到達しました。

格変化だとかを習得していない、知識がない状態でどんどん学び進めていって頭が疲れたので、ここで一旦ストップしました。

レッスンを進めていくと「Gods」なるセクションも出てくるようです。(神々についての何を学ぶのか? ローマ神話についてなのでしょうか。)

コース説明文で気になったこと(いわゆるポリコレ)

ラテン語学習コースについて(「みらい翻訳」を利用しつつの拙訳)

Friends, Romans, countrymen, lend us your ears! (わが友人、ローマ市民、同胞諸君、耳を貸してくれ! ※)

数世紀前において〔?〕、ラテン語はローマ帝国の言語でした。今日でもまだまだ現役です。ラテン語は科学、法律、医学の言語として使われてます。ラテン語から発達した言語(ロマンス諸語)は現在、何億人もの人々によって話されています。見る目さえあれば、西洋世界では毎日ラテン語に出くわすでしょう。― 有名な座右の銘(motto)から、ランドマークに刻まれている文字や、通貨に記載されている格言まで。ラテン語はいたるところに見られます。英語の語彙を増やしたり、古典的な詩や文学を読んだり、他の言語を学ぶための技量を向上させたり、古代文化についての理解を深めたり、もしくは、心の中に住んでいるトーガをまとった元老院議員と連絡を取ったりしたければ、そのための言語を用意しています。Salvete!

※ シェイクスピア劇『ジュリアス・シーザー』からの引用
(訳はこちらのブログより引用しました。)

コース説明ページの英文を読んでみたところ、カトリック信徒としてはどうにも気になってしまう内容でした。それは、ラテン語の使用シーンについて。

Duolingoは世界中で使われている人気サービスにつき非キリスト教徒(非カトリック信徒)に配慮しているのか、「ラテン語はカトリック教会で今なお使われている。クラシックのミサ曲でラテン語に慣れ親しんでいる人も少なくない」等々の事実については一切触れていません。一般的に知られている事実なので、このことについて書いていないのは非常に不自然というか、ポリティカル・コレクトネスというか・・・。近年、アメリカなどではクリスマスシーズンに”Merry Christmas!”ではなく、”Happy Holidays!”の挨拶に切り替わっていっているという話を想起してしまいました。

なお、Catholic Herald誌の2019年8月29日付けの記事では、Duolingoのスポークスマンによる「ラテン語はローマ・カトリックの信仰と本質的に(intrinsically)結びついている」「ラテン語を学ぶことにより、ローマ・カトリックの信仰を持つ人々は自分たちの宗教とより深くつながることができる」との発言が報道されています。もっとも、Duolingo公式サイト上ではこれらの内容は書かれておりませんが・・・。

【参考情報】フランシスコ教皇様、若者へのラテン語を教育を称讃する(2017年のご発言)

Catholic Herald誌の同記事には、フランシスコ教皇様が「ラテン語を教えることは、若者が(初代教会の偉大なラテン語著作に触れることで)『人間の内的な本質について』よく考えるための有用な手段」だと称讃されたという記事がリンクされています(2017年12月7日付け)。

このようなご発言は、Pontifical Academy (1)主催の「In interiore homine(内的な人): ラテン語の伝統における研究の道筋」(2)というテーマの会議にて、ラテン語の研究者や教師達に対してなされたとのことです。聖アウグスティヌスによる『ヨハネ福音書注解』を引用しつつ同聖人の「忘れ得ぬ知恵」を褒め称えたとも書かれております。

(1) Pontifical Academy: 邦訳は教皇庁アカデミー?; 2012年11月にベネディクト十六世教皇様(当時)がラテン語の研究を振興するために設立。

(2) In interiore homine: 聖アウグスティヌスによる上記著作『ヨハネ福音書注解』からの引用かもしれません。ニュース記事にあるとおり、「内的な人にキリストが宿る(In the inner man dwells Christ)」等々の部分を教皇様が引用されているので。

この手の内容のご発言はあまり日本では報道されないので、簡単ながらご紹介いたしました。

終わりに

ポリコレや教皇様発言など、Duolingoとは関係ない内容についても書いてしまいましたが、ともかく、ゲーム感覚でラテン語を学ぶことができるツールの登場は画期的です。せっかくの機会なので、三日坊主ならぬ一日坊主にならないように継続したいです。Salve Regina!

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