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聖月曜日にサタンシューズ(ナイキ・エアマックス 97)が発売されるとのこと

今年の聖週間の聖月曜日である2021年3月29日に、Nike Air Max 97のサタンシューズ(Satan Shoes)が発売されるらしいです。

「構造化されたカオス」を標榜し、ばかげた製品を販売するスタートアップ企業「MSCHF」社(参考記事)が、ラッパーのLil Nas X(リル・ナズ・X)とコラボレーションした靴のようです。エアソールには60ccの赤いインクと一滴の人間の血液とが封入されているとの宣伝です。販売数は666足。

靴にぶら下がる飾りやインソールには逆五芒星、シュータンに縫い付けられているナイキのロゴの上には逆さ十字架のマーク入りのプルタブがついています。

靴の側面には「LUKE 10:18」と赤い色で記されています。ルカ聖福音書の第10章18節は「イエズス彼等かれらのたまひけるは、われサタンが電光いなづまごとてんよりつるをつつありき。」(ラゲ訳)です。(バルバロ訳:イエズスは、「私は天にひらめくいなづまのように、サタンが落ちるのを見た。)

靴の価格は「LUKE 10:18」にちなんで1,018ドルです。

ヤン・ファン・エイク『キリストの受難と最後の審判』
ヤン・ファン・エイク『キリストの磔刑と最後の審判』(出典

サタンシューズの公式サイトも悪趣味です。ヤン・ファン・エイクの『キリストの磔刑と最後の審判』(メトロポリタン美術館の日本語解説ページ)にて描かれている地獄の絵を背景にしています。おそらくフランスの15世紀のミサ典書が出典らしい、悪魔がイエズス様を抱えて運んでいる絵画(マテオ4・8にちなんでいる模様 ※)も掲載されています。この絵は靴の梱包箱の内部にも印刷されています。

※ 「Devil bearing Jesus missal, France ca. 1470-75」で調べると画像が出てきます。

この靴の発売と公式サイトについてはジョークニュース、ジョークサイトだと思いたいのですが、MSCHF社は2019年に「INRI Jesus Shoes」という名称の、同じくNike Air Max 97の靴(ヨルダン川由来の聖水をエアソールに封入)を発売した実績があります。

そして、ロシアのニュース専門局「RT」(旧称:ロシア・トゥデイ)も3月27日にこの靴について報道しています。RTの信憑性はなんともわかりませんが(個人的にはRTの動画を幾つか視聴したことがあります)、以下の箇所が印象的でした。

かつて『無神論の共産主義』との冷戦のためにキリスト教を軍事化したアメリカは、今ではキリスト教を陵辱する儀式を楽しんでいるかのようです。世論調査が示唆するように、アメリカ人があまり宗教的ではないということではありません。キリスト教的ではないということです。」

「今回の『サタンシューズ』の演出で最も悲しいのは、確固とした政治的・宗教的なものではなく、今の時代精神にぴったりと適合する虚無主義的(ニヒリズム)な金儲けにしか見えないことです。Lil Nas Xのニューシングルとのクロス・プロモーションであることは間違いありませんが、この会社は以前にも『ジーザスシューズ』を作ったことがあります。」

「MSCHFの創業者兼CEOであるGabriel Whaleyは、『私たちの視点は、すべてのものがニヒリスティックな意味で面白いということです』と語っています。」

※ 太文字での強調は当サイト管理人による。

虚無主義については、先般紹介した通り、イタリア人哲学者のRenato Cristin教授もグレート・リセットへの警告のなかで語っていました。

「宗教的次元の喪失(したがって、聖なるものの感覚の消失)は、世俗化の結果です。世俗化(※ 非宗教化)は厳密な意味で教会や信者に影響を与えるだけでなく、虚無主義的な世俗主義を生み出し、西洋社会全体にダメージを与えます。その世俗的機関や国家の構造においてさえにもです。(…)グレート・リセットの理論は世俗化を助長し、西洋文明の基礎となる核、すなわち伝統的な宗教領域を奪われた非キリスト教化社会への道を開くものです。」

参照:拙記事「聖母を冒涜する映画が聖金曜日に公開される予定 ~2021年は「グレート・リセット」の年~」、英文オリジナル記事

RTの記事にあるように、「金儲け」が最大の発売意図なのでしょうか。

サタンシューズが聖月曜日に発売され、先日紹介したソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント配給の映画『The Unholy』(偽聖母の出現についての映画)が聖金曜日に公開されるというスケジューリングです。同じ年の聖週間に瀆聖とくせい的な複数の商品を売り出す。それもグレート・リセットの年にというのは、なんとも偶然が過ぎるように思われます。

当初噂されていたときには陰謀論だと揶揄されてもいた「ワクチンパスポート」が現実化して、イスラエルやアメリカのNY州で運用が開始されたりと、黙示録的な、不穏なものを強烈に感じる世相です。

おまけ
ナイキは、2017年に「プロビデンスの目」らしきシンボルをあしらった「Kyrie4」シリーズのスニーカーを発売しています。NBA選手であるカイリー・アービングのシグネチャー・スニーカー・ラインです。

この靴のデザイナー、Benjamin Nethongkomeは「イルミナティを表すものではありません。第三の目は、目に見えるものを超えて考えることを皆に喚起するのものです。」(2017年12月16日、記事リンク)と語ってはいますが。

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